CC-Link IE TSN対応製品開発の流れ
CC-Link IE TSNに対応した製品の開発の流れをご紹介いたします。
開発検討のステップ
- *スイッチングハブ、ケーブル、コネクタ等の推奨配線部品は、開発検討項目が一部異なります。
- *「SDK」とは、Software Development Kitの略称です。
Step1. 局種別の選択
マネージャ局
- *デバイス局:ローカル局やリモート局などのマネージャ局以外の総称です。
ローカル局
リモート局
他の局との1:n のサイクリック伝送とトランジェント伝送が可能である局。
トランジェント伝送においては、サーバ機能とクライアント機能を持ちます。
Step2. 認証クラスの選択
- CC-Link IE TSNでは、機器(ノード)およびスイッチングハブの機能・性能に応じて、認証クラスを設けています。
- 認証クラスにはAとBがあり、Bが高性能となります。
機器
- 使用用途の広い認証クラスBの製品開発を推奨します。ただし既存(TSN非対応)製品のソフトウェアのみを変更し、開発を行う場合のみ認証クラスAで開発ください。
- ─ : 実装不要
No. | 機能 | 条件 | 認証クラス | |
---|---|---|---|---|
A | B | |||
1 | 受信/中継 | フルレート受信/中継(*1、*2) | ― | ● |
2 | 対応規格 | IEEE802.1AS準拠 | ― | ● |
IEEE1588準拠 | ― | -(*5) | ||
IEEE802.1Qbv準拠 | ― | ● | ||
3 | 同期精度 | 1 μs以下 | ― | ●(*4) |
4 | 通信モード | 時分割方式 | ― | ● |
タイムマネージド・ポーリング方式 | ● | ― | ||
5 | サイクリック伝送 | VLAN | ● | ●(*6) |
ユニキャスト | ● | ● | ||
ブロードキャスト/マルチキャスト | -(*3) | ● | ||
6 | トランジェント伝送 | NRSV-Transient | ● | ● |
- *11ポートの場合:受信、2ポート以上の場合:受信と中継
- *2100 Mbps以上であれば、通信速度は問わない
- *3ローカル局の場合は、実装必須
- *4時刻同期精度1 μsを保証するシステムの場合、認証クラスBの製品のみで構成する。この場合、認証クラスAの製品(スイッチングハブ含む)を認証クラスBの製品間に配置しないこと。
- *5プロトコルバージョン1.0は実装要。詳細はCC-Link IE TSN仕様書(概要編)をご参照ください。
- *6プロトコルバージョン1.0は実装不要。詳細はCC-Link IE TSN仕様書(概要編)をご参照ください。
マネージャ局は、認証クラスAのデバイス局および認証クラスBのデバイス局の両方と通信可能となるように実装してください。
デバイス局は、認証クラスAまたはBのいずれかの局として、マネージャ局と通信可能となるように実装してください。
No. | 機能 | プロトコルバージョン2.0 | プロトコルバージョン1.0 |
---|---|---|---|
1 | 通信方式(*) | 時分割方式 タイムマネージド・ポーリング方式 |
時分割方式 |
2 | 対応規格 | IEEE802.1AS準拠 | IEEE802.1AS準拠 IEEE1588準拠 |
3 | サイクリック | 伝送VLAN必須 | VLAN任意 |
- *時分割方式では各局で同期している時刻を活用して双方向に同時に送信するのに対し、タイムマネージド・ポーリング方式では、時間を管理するマネージャ局からのサイクリックフレームを受信した後にマネージャ局宛にサイクリックフレームを 送信する方式です。
スイッチングハブ
- ─ : 実装不要
No. | 機能 | 条件 | 認証クラス | |
---|---|---|---|---|
A | B | |||
1 | リンクアップ/中継 | 1000BASE-T(IEEE802.3ab)準拠 | ●(*) | ●(*) |
100BASE-TX(IEEE802.3u)準拠 | ||||
Auto MDI/MDI-X | ● | ● | ||
オートネゴシエーション | ● | ● | ||
2 | 対応規格 | IEEE802.1AS準拠 | ― | ● |
EEE1588準拠 | ― | ― | ||
3 | 同期精度 | 1 μs以下 | ― | ● |
4 | Time aware Queuing | IEEE802.1Qbv準拠 | ― | ● |
- *どちらか一方、もしくは両方に対応のこと
Step3. 開発手法の選択
開発手法の多様化
専用ASIC/FPGAで実装した高性能機器から、ソフトウェアプロトコルスタックで実装した汎用Ethernetチップまでさまざまなタイプ の製品開発に対応できます。
種類
開発ツール 分類 |
PCボード | 組込みモジュール | 専用通信LSI | SDK |
---|---|---|---|---|
種別 | ハードウェア | ハードウェア | ハードウェア | ソフトウェア |
内容 | PCIやPCI Expressのインタフェースに接続する | ユーザ基板と組込み型インタフェースボードを汎用的なバス(16 bit パラレルバスなど)で接続する | 公開される通信LSIのインタフェース仕様に基づき、ユーザ自身で基板に実装する | 公開されるソフトウェアを汎用Ethernet通信に対応した機器に組込む |
選択する開発手法により期間とコストが異なります。
開発種別の異なる製品の組合せによる通信精度の違い
構成 | ||||
---|---|---|---|---|
通信速度 | 1 Gbps | 1 Gbps | 100 Mbps | 100 Mbps |
通信精度 |
Step4. 開発場所の選択
自社で開発
各種開発手法を利用して、
自社で通信インタフェースを開発いただきます。
受託開発メーカーの利用
自社開発における技術面や人員面などの問題をクリアする方法の一つとして、 通信インタフェースのハードウェアやソフトウェアの開発を受託するメーカーがあります。
CC-Link IE TSN開発ツールパートナー
パートナー | 局種別 | 認証 クラス |
開発ツール | |||
---|---|---|---|---|---|---|
PCボード |
組込み モジュール |
通信LSI |
SDK |
|||
マネージャ局/ ローカル局 |
B | 開発中 | ||||
マネージャ局 | B | ● | ||||
リモート局 | B | 認証予定 | ||||
マネージャ局/ ローカル局 |
B | ● | ||||
リモート局 | B/A | ● | ||||
マネージャ局 | B | ● | ||||
リモート局 | B/A | 認証予定 | ||||
リモート局 | B | ● | ||||
A | 認証予定 | |||||
リモート局 | B | 認証予定 |
組込みモジュール、PCボードはパートナーにて検討頂いております。
詳細は CC-Link IE TSN開発ツールメーカー⼀覧 にてご確認ください。
開発検討中のパートナーは下記です。
その他の開発⽀援ツール
CC-Link IE TSN開発を支援するサンプルコード、ツールを無償で公開しております。
パートナー会員であれば、ウェブサイトから無償でダウンロード可能です。
CC-Link IE TSN リモート局 Class A用サンプルコード
- ❶コンパクトなリモート局用サンプルコード
- ❷Ethernet機器やCC-Link IEフィールドネットワークBasic機器への適用を容易にするS/W構造やAPI仕様
- ❸無償でダウンロード可能
No. | 項目 | 製品名 | バージョン | メーカー |
---|---|---|---|---|
1 | 評価ボード | NUCLEO-F439ZI(*) | - | STMicroelectronics |
2 | 統合開発環境 | STM32CubeIDE | 1.7.0 | STMicroelectronics |
3 | OS | FreeRTOS | V10.3.1 | Amazon Web Services |
4 | IPスタック | lwIP(lightweight IP) | 2.1.2 | lwIP開発者グループ |
NUCLEO-F439ZI
(STMicroelectronics社製)
* 搭載マイコン(STM32F429ZIT6)
周波数 :180 MHz
CPU :ARM Cortex-M4
Flash :2,048 Kbyte
RAM :256 Kbyte
CC-Link IE TSN Wiresharkプラグイン
CC-Link IE TSN WiresharkプラグインをWiresharkに取り込むことで、CC-Link IE TSNプロトコルのパケットのデータ表示が簡単になるため、解析が格段に容易になります。