CC-Link IE TSNNEW!
CC-Link IE TSNは、標準Ethernet規格を拡張した「TSN(Time-Sensitive Networking)」を世界に先駆けて採用。よりオープンな産業用ネットワークとすると共に、効率的なプロトコルにより従来CC-Link IEが有する性能・機能をさらに強化しました。
CC-Link IE TSNのご紹介
CC-Link IE TSNはTSN技術を採用することで、よりオープンな産業用ネットワークとすると共に、効率的なプロトコルにより従来CC-Link IEが有する性能・機能をさらに強化しました。
TSN技術及びプロトコル階層
- CC-Link IE TSNは、OSI参照モデルの第2層に位置するTSN技術をベースに、第3層~7層のCC-Link IE TSN独自プロトコルとEthernet標準プロトコルで構成されています。
TSN(Time-Sensitive Networking)とは
TSNは、複数の国際標準規格で構成されており、主なものに時刻同期方式を規定したIEEE802.1AS、時分割方式を規定したIEEE802.1Qbvがあります。これらの規格を組み合わせることで、一定時間内での伝送を保証する定時性や異なる通信プロトコルとの混在が実現可能となります。
特長
(1)FA(制御通信)とIT(情報通信)の融合
- リアルタイム性を確保した制御通信を実施しながら、他オープンネットワークの通信やITシステムとの情報通信を同一ネットワークで融合可能とすることで、システム構成の自由度を向上し、配線コストを大幅に削減できます。
(2)高速・高精度な制御の実現
- 従来のCC-Link IEは、1ネットワーク中でトークン(送信権)を保有しているノードが自局の送信データを送信した後に、隣接局にトークンを譲渡するトークンパッシング方式を採用しています。
- CC-Link IE TSN は、ネットワーク内で同期している時刻を活用し、決められた時刻で、出力と入力の通信フレームを双方向に同時に送信する方式を採用。この方式とEthernetで採用されたTSNを組み合わせることで、ネットワーク全体のサイクリックデータを更新する時間を短縮させることが可能です。
- CC-Link IE TSNでは、同一ネットワーク内で複数の通信周期で運用することができます。これにより、サーボアンプのような高性能の通信周期を必要とする機器の性能を維持したまま、リモートI/Oなど高速な通信周期を必要としない機器をつなぐなど、それぞれの機器の特性に合わせ通信周期を最適化することが可能になり、駆動制御の性能を最大化しタクトタイム短縮を図ることができます。
(3)立上・運用・保守における工数削減
- CC-Link IE TSNは、SNMPにも対応。汎用のSNMP監視ツールにより、CC-Link IE TSNに対応した機器のみでなく、スイッチやルータなどIP通信に対応した機器もまとめて収集・分析できます。
- またTSNで規定された時刻同期プロトコルにより、CC-Link IE TSNに対応した機器は機器間の時刻のズレを補正し、高精度な時刻同期を行っています。マスタ局やリモート局がそれぞれ持つ時刻情報をマイクロ秒単位で合わせているため、例えばネットワークに異常が発生したときの動作ログ解析時に、異常に至るまでの事象を正確な時系列で追えるようになります。
- さらには、ITシステムへ生産現場の情報と正確な時刻情報を紐づけて提供することが可能となり、AIを活用したデータ解析アプリケーションによる予知保全などで、より一層の精度向上が期待できます。
(4)多様な開発手法による対応製品の拡充
- CC-Link IE TSNは、ハードウェア実装のみならず、ソフトウェアでも実装可能です。専用ASICやFPGAで実装する方法に加え、汎用のEthernetチップにソフトウェアのプロトコルスタックで実装する方法が、マスタ局、デバイス局ともに適用できます。通信速度も1Gbpsに加えて、100Mbpsにも対応できます。
- 機器開発ベンダ様は最適な開発手法でCC-Link IE TSN対応機器を開発できるようになります。このことは対応機器の充実化という形でユーザ様にも効果をもたらします。
ユースケース
TSNの技術を採用したCC-Link IE TSNは、Ethernet機器の活用を容易にするとともに、プロトコルを一新して高速な制御通信を実現しているため、様々な分野に適用が可能となります。
(1)自動車(塗装ライン)
- 自動車の塗装工程では、塗装の品質データや塗装ロボットの設備監視データなどの大容量なデータを上位のコントローラで高速で収集し、分析することが可能になります。また、多岐にわたるレシピデータもリアルタイムに設備側に送信することで変種変量生産に対応することも可能です。
- 一般通信と安全通信が混在できるため、配線コストと配線ミスの大幅な削減が実現できます。リングトポロジーを使用することで、ループバック機能により機器トラブル時の装置停止を回避することが可能であり、ダウンタイムの短縮を図ることができます。
(2)半導体製造装置(ボンディング)
- 制御通信に影響を及ぼすことなくレシピデータやトレサビデータなどの大容量の情報を高速に通信することが可能です。
- 半導体装置でのメインコントローラとして主流となっているIPCでも、既存のハードウェアを変更することなくソフトウェアでCC-Link IE TSNのマスタ機能を実装することができるため、これまでの設計資産を流用することができ、大幅な設計工数の削減が図ることができます。